総量規制・可処分所得・信用情報機関など債務整理(自己破産・個人再生・任意整理・過払い金返還請求)にまつわる用語を解説

債務整理用語辞典

「住宅ローン特別条項付き個人再生」「利息制限法」など、債務整理にまつわる言葉でよく意味の分からない言葉も多いのではないでしょうか。
ここでは、そのような債務整理に関する用語についての簡単な説明を掲載しております。
債務整理・自己破産・多重債務・任意整理・過払い金返還請求・個人再生などに関する言葉でよく耳にする「わからない」用語がございましたら、参考にしていただければ幸いです。

住宅ローン特別条項付個人再生とは?

一般に、住宅資金をローンで借りた場合、そのローン契約書には期限の利益喪失約款というものが記載されています。 債務者が破産したり取引停止処分を受けた場合には、当然に期限の利益を喪失するとか、その他にもローンの支払いが遅滞したり、債務者の信用状況に著しい変化が生じた場合には、債権者の請求により期限の利益を喪失するとかの規定です。
このような規定により期限の利益が失われた場合には、債務者は、ローンの残額全部を一度に返済しなければならず、支払えない場合には、不動産に設定された担保権が実行され、債務者は住宅を失うことになります。
このような事情があるため、自己破産や任意整理では、マイホームを守ることは困難です。
しかし、賃貸住宅を借りるとしても結局は家賃を支払っていかなければならず、老後のことを考えると何とかマイホームを守りたいと考える方も多いと思います。
このような場合に有効なのが個人再生手続きの特則として定められた、住宅資金特別条項です。
この方法によれば、住宅ローンは今まで通りに支払い、住宅ローン以外の借金は金額を圧縮して原則3年で分割払いにするということができます。
すでに、住宅ローンに遅滞が生じているような場合、期限の利益喪失約款によって、債務者は期限の利益を失います。
しかし、この期限の利益回復型の個人再生申立が認可された場合には、債務者の期限の利益が回復し、これまでどおり住宅ローンの分割払いが認められることになります。
それまでに支払いが滞った住宅ローンの分については、一定の弁済期間内に返済する内容の再生計画案を作成する必要があります。
この弁済期間は、一般の再生債権の弁済期間と同一の期間(原則3年、5年まで延長可)で、これが5年を超える場合は5年となります。

総量規制とは?

総量規制とは、改正貸金業法により
貸金業者が個人へ貸し付ける場合には、借りる人の返済能力調査が義務づけられ、貸付額も年収により制限し、一定割合以上の貸付を行うことを禁止する。
という規制で、過度な貸付を禁止することにより、多重債務を防止しようとすることを目的とし、2010年6月18日から完全施行されました。
具体的な事項としましては、 1社で50万円以上を貸し付ける場合は、年収証明の提出が義務付けられます。 複数社から借入れがある場合は、総額100万円を超えた時点で、年収証明の提出が義務付けられます。 総額で年収の1/3以上は、貸し付けを行うことを法律で禁止します。 総量規制の対象となる借入は、消費者金融、クレジット会社、信販会社といった貸金業者からの借り入れを対象としており、銀行からの借入は対象としていません。
また、無担保ローンを対象とするもので、不動産、自動車、有価証券等を担保とする借入は除かれます。
今回の総量規制の対象となるのは「キャッシング枠」だけで「ショッピング枠」も対象外となってます。
そのため、年収の3分の1を超える借入れがある場合でも、クレジットカードで買い物をすることは可能です。 総量規制は銀行のカードローンは対象外です。
そのため、近年、クレジット会社で借り入れができなかったため、銀行カードローンを利用している方が増えているのが現状です。
多重債務者は徐々に減ってきているという事らしいですが、事実、自己破産の件数は微増しています。
規制の動きもありましたが、現状は銀行それぞれの指針に任せています。

可処分所得とは?

可処分所得とは一般的に収入から社会保険料や税金、年金を差し引いた金額を指しています。
但し、給与所得者等再生で適用される、可処分所得の算出はこれに加え、最低生活費を差し引いて計算します。
最低生活費とは民事再生法第241条3項で年齢、扶養者、居住地域、物価の状況等を考慮して政令で定めることとなっています。
具体的には、個人別生活費、世帯別生活費、冬季特別生活費、住居費、勤労必要経費が、住居地ごとに定められています。

信用情報機関とは?

信用情報機関は、借主個人の情報収集と管理を行う機関です。扱う情報としましては、クレジットカードやキャッシングの契約状況、借入・返済などの取引状況、延滞情報や債務整理の情報などです。
又、加入している金融機関は照会をかけることでこれらの情報を取得することができます。
信用情報登録機関は株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人情報センターと3社あります。
JICC
< 主な会員 >
消費者金融、信販会社
< 登録期間 >
任意整理 最長5年
個人再生 最長5年
自己破産 最長5年
CIC
< 主な会員 >
クレジットカード会社、信販会社
< 登録期間 >
任意整理 最長5年
個人再生 最長5年
自己破産 最長5年
全国銀行個人情報センター
< 主な会員 >
銀行、銀行系カード会社等
< 登録期間 >
任意整理 最長5年
個人再生 最長10年
自己破産 最長10年
任意整理につきましては金融機関によって登録するタイミングが大きく異なります。
早い場合は返済和解が合意した時に登録されますが、遅い場合、完済した後に登録される場合もあります。
明確にいつ登録を行うかが定まっていないため、このような状況になるようです。
和解後すぐに金融機関に登録するように指示はできませんので、返済が終わってから5年間は登録されている可能性があると考えてください。
個人再生につきましては、ほとんどの金融機関が再生弁済額を完済してから登録を行うようです。
破産につきましては免責許可の通知を受けてから掲載されます。